2007年3月、ピアノソロの為の小品として作られたこの曲は、もともとは「Lontano e piu lontano via」という長いタイトルの曲であった。とにかく遠くへ遠くへ…その時の私は遥か、今ではない時代や、未踏の大地への憧れを抱いていたのだろう。

古典的な楽曲形式で作られてはいるが、教会旋法風の漂うようなメロディの単純なリズムを支えるため、複雑な変拍子が用いられることとなった。更に、口伝伝承されていき徐々に物事が変容されるかの如く、調性はふらふらと垣根を超えてあちこちを漂っていく…しかし、やはり最後には「今」へ戻ってくる。結局私たちは今を生きているのだ。
M.O.版編曲にあたり、ピアノソロ版では入れることのできなかった断片を入れることができた。より密度の高い、遠くへの旅をお楽しみいただければ幸いである。

​-ガロリアマンドリンオーケストラ第17会定期演奏会　プログラムノートより-